構造としての企画部門(7)〜エースラボは営業企画的なアプローチでどのように「時空」をデザインし、劇的な利益を創出するのか?

前回は 〜会社利益の源泉は時間! 時間と空間「時空」をデザインすれば、利益は劇的に向上する!?〜 と題しまして

・業務空間と業務時間=「時空」をデザインし、クリエイトすることで、社員ががんばらなくても、時間あたりの生産性を向上させることができる。

・会社の時間あたりの生産性が向上すると、結果的にお客様のために使う時間が増え、劇的な利益の創出を可能にする。

・業務空間と業務時間つまり「時空」をデザインすることは、劇的な利益の創出に直結する。

というお話をしました。

 

今回は、営業企画の代表として、我々エースラボ(外部へのコンサルティングと合わせてグループ内の経営企画・営業企画業務もやってます)が社内外で具体的にどのような手法で時空をデザインしているのかお伝えしたいと思います。

具体的な「時空」のデザインはけっこう独自色の強い考え方にもとづく作業なので、一から読むと少し分かりにくいかもしれません。

なので、先にあらすじと言いますか、大まかな概要をお話しします。

サワダが提唱する「時空のデザイン」とは、今やっている仕事の空間的な構成と、時間の流れや順番をデザインし直すことで、同じ仕事からより大きな利益が生み出せるようにし、さらに大きな利益を作るための時間(資源)を作り出す作業です。

実はデザインとは、ゼロからなにかを産むことではなく(これはクリエイト)、「美しさ や使いやすさ などの狙いを実現するために創意工夫すること(Weblio国語辞典より)」なんです

時空のデザインのためには、以下のような手順が良い、と沢田は考えています。

1)見える化する・・・仕事の現状のデザインを観察し、複数の要素に分解して言語化する。時空デザインの必須作業、一丁目一番地。

2)まとめる・・・見える化して、重複する要素があれば一つにまとめて作業を簡略化する。

3)はぶく・・・見える化して、不要な作業を見つけたらデザインから削除する。

4)そろえる・・・見える化して、各人によってやり方にバラツキのある作業を見つけたら、最も優秀でかつ誰でも実行可能な作業に統一する。ここが時空デザインによる企業の成績急上昇のキモ。

5)しくみ化する・・・1)〜4)が完了し、ベストな時空デザインが完了したら、そのデザイン通りにしか仕事が進まないような仕組みを実装する「時空デザインのゴール」。

しくみを実装するのには必ずしも高額なIT投資は必要なく、PC・スマホで使える無料アプリケーション、ホワイトボード、紙ベースでも可能。机や書類箱の配置を変えるだけで可能な場合もある。

「仕事の中身を見える化して、その手順をまとめて、はぶいて、そろえて、しくみ化し、同じ経営資源(仕事のための時間と空間)から最大の利益を生み出す。」

それがサワダの言う「時空デザイン」と言うわけです。

サワダは自社で試行錯誤しながらこの時空デザインを成し遂げ、同じ人数で(しかも残業を減らしより少ない時間で)利益を5倍にしました(結果的に売り上げも倍になりました)。

そして今エースラボスタッフと共に、契約先で時空デザインに取り組んでいるんです。

まあ、最初からこんなふうにシステマチックに考えていたわけではなくて、体系として出来上がったのは割と最近なんですけどね。

今回はわれわれのノウハウのかなりの部分を公開しますので、その通りにできたら御社の利益は確実に向上すると思いますよ。

もし「自分でやるのは大変」と思ったらエースラボにご相談ください。

ではさっそく1)〜5)の具体的な事例とその解説を・・・

1)見える化する

エースユナイテッドグループのミカド電装商事は、WBS(前回も書きましたが作業要因分解図)の書式で、営業の仕事を「見える化」しました。

と、あっさり書くとなんでもないことのようですが、これが実は結構難しくて・・・

なぜかというと、自分たちが仕事でやっていることを、MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)、つまり「モレなし、ダブりなし」の形で説明できる人はほぼ皆無だからなんです。

私たちエースラボはコンサルティングにあたり、見える化の手段の一つとして「業務インタビュー」を行います。

たとえば、営業事務の方にご自身の仕事を説明してもらおうとすると・・・

「私の仕事の一つに見積書を作る、というのがあります

見積書は 宛名・日付・見積もり有効期限・見積もり額が必須事項です

見積もり額は 品名・数量・単価から構成されています

品名と単価(上代)は品番を入力すると商品マスターから自動的に転記されます

お客様の種類に応じて一定の掛率を適用しますが、その種類というのは・・・」

なんてよどみなく答えられるかたはまずいなくて、普通は

「・・私の仕事は・・えーっと まず最初に注文を頂きます・・あ、その前に見積書を出します・・・見積書はどうやって作るかって? なんでそんなこと聞くの?

見積書はほら 金額を書くんですよ 金額の中身? だから~ お客さんによって色々ですよ!(怒) もう色々と言ったら い・ろ・い・ろ です!

最初に宛先を書くかって?? あったりまえでしょ なんでそんなことまで説明しなくちゃいけないの??」

といった具合。

しかし、「モレなし、ダブりなし」の状態で会社の仕事の「時空(時間の流れと空間の使い方)地図」を作れないと、この後の私たちのコンサルティングが前に進みませんので、ここは我慢をして付き合っていただくことになります。

また、最初に登場いただいた(仕事の説明が素晴らしい理想の)社員さんは、抽象度の高い説明から具体性の高い説明へと、順序よく「階層的」に仕事を説明できています。

「階層的」というのは世界地図で例えると

「地球→東アジア→日本→東京都→渋谷区→宇田川町→21→渋谷スクランブル交差点」

なんだったら 「渋谷スクランブル交差点→渋谷センター街がわのチケット屋さん→ショーケース上段左端→5000円のQUOカード」

といった具合にどんどん深く具体化していける構造のことで、コンピューターのファイル・データ構造もこの様になっています。

(コンピューターの世界では「ディレクトリ構造」とか「ツリー構造」と呼ばれますね)

さらにいうと「地球」の左側にも「太陽系」→「オリオン腕」→「銀河系」→「局所銀河群」・・・と抽象的な世界の果て(どこかは知りませんが)まで進むことが出来ます。

まあ私たちのインタビューは仕事の特性上、

左は部門の外側の会社とか、その外側の業界くらいまで、右側は「マウスをスイッチを上にして右手に持ち」とかまで極端に具体的には書かず、「入力する」「〇〇ファイルを参照する」など新入社員にわかるくらいまで落とし込む感じです。

事例で述べたミカド電装商事の場合、見える化すると、これまで重要と思っていた注文をいただくための行動(受注活動)と同じくらい、注文をもらってから納品、請求までの仕事のスピードや正確さも大事だとわかりました。

それがきっかけとなり、このあと述べる2)以下の手法でスピードアップ・品質アップを実現し、「3年間で利益5倍増」というドラスティックな効果を生み出しました。

この「見える化」が一番手間のかかる作業になりますが、ここがある程度完成すると、このあとの私たちエースラボの仕事は一気に進み、お客様の成果も徐々に上がりだします。

2)まとめる

複数の商品群と販売部門を持つエースラボのとある契約先様では、それぞれの部門長が、別々に数字を作ってそれを会議の場で印刷物配布や口頭の報告を行い、ホワイトボードで合算し共有する慣習になってました。

残念なことに、経営資源である大事な時間(人数 X 会議時間)のかなりの部分が、この合算作業に使われてしまうので、残りの時間は慌ただしい報告会みたいになってしまい、具体的な展望や対策を話し合う時間が十分に取れていませんでした。

そこでエースラボはグーグルスプレッドシートを使って、営業会議用シートをクラウド上に作成し、会議前に全員がそこに必要なデータを入力していただき、会議中はホワイトボードではなく各人がPCやタブレットでこのシートを見てもらうことにしました。

これで会議内の報告にかかる時間は一気に短縮、ついでに言えば課題や今後の対策を入力する欄も設けましたので、会議の時間がほぼほぼ予算達成のために部門を超えた話し合いに使える、とても有益な時間になりました。

これは当事者にはなかなか見えませんが、私たちエースラボでなくても第三者であれば見える「時空」のムダ使いのケースです。

しかし「時空のムダ」が表面化していない場合でも、1)の手法で複数名・複数部門の仕事を見える化してみると、おなじような業務を同時に複数のラインで別々に行っている部分が必ず見えてきます。

例えば同じような売上管理シートを、営業部門と経理部門が別々に作っていて、お互いにその存在を知らない(空間のムダ)。

仮に知ってはいても、経理が必要な数字をいちいち営業部門に聞いて、自分たち独自の管理シートに入力する(時間のムダ)。

こんな時は上記の事例のように、複数のシートを一つにまとめたものを作り、それをクラウド(グーグルドライブがおすすめです)で共有して、誰が、どの部門がいつまでにどの項目を入力するかを決めて管理してしまえば、これまた事例のように、相当な時間と空間を節約できて、いちばん大切なお客様のための「時空」に使うことができるのです。

もしも機密保持の観点などから部門間で共有できない情報がある場合には、上記共有シートから自動的に転記できる別シートを作り、機密情報はそちらに入力、そちらにはセキュリティを掛けてしまうことも可能です。

今回の事例では「見える化」で各部門の数字の集計にけっこう時間がかかることもわかっていましたので、レジシステムからデータを転送し、一気に計算を終えることのできるスプレッドシートも用意しました。

「時間外で毎週2時間かかっていた作業が、会社来てから20分で終わるようになった」とは、ある部門長の生の声です。

この「2)まとめる」はコンピュータのデータベースプログラムの「冗長性の排除」という考え方を応用したものなんですが、よく考えたら(考えなくても)当たり前のことなんです。

しかし、そもそも1)の見える化が出来ていないと2)まとめる=「冗長性の排除」に手を付けることは出来ないものなのです。

3)はぶく

1980年代後半、私がミカド電装商事にもどったころ、ベテランの総務部長さんは手書きの帳簿を電卓で手計算した後、そろばんで検算していました。

当時会社に表計算ソフトや、会計ソフトがまだ導入されていませんでしたので、それなりに意味のある作業だったと思っていますが、もし今でもそれをやっていたらかなり笑ってしまいますね。

しかし、今は意味がなくなってしまっていても、元々の意味をよく考えることなく存続してしまっている「仕事」って結構多いものなんです。

アメリカの笑い話を一つご紹介します。

若夫婦の奥さんが得意料理のミートローフを作るときに、せっかく作った生地の端っこを少し切ってからオーブンに入れるのを不思議に思った夫が奥さんにその訳を尋ねると、

「これがミートローフを美味しくするコツなの(にっこり)。ママもそうやっていたんだから。」とのこと。

謎が解けない夫はその後、家族で奥さんの実家に行った時に、義理のお母さんに端っこを切る訳を聞いてみました。

「ああ、あれね。実は友達からミートローフの秘伝レシピをもらったんだけど、そのとおりに作るとウチのオーブンには大きくて入りきらなかったのよ。だからうちのオーブンのサイズに合わせて端っこをカットしていたわけ。」

若夫婦の新居のオーブンは十分に大きく、カットしなくても生地は余裕で入ったそうです。

会社の中にはこんなふうに、業務をやっている人は大切な仕事だと思っていても、じつはやらなくてもほとんど成果には関係のない仕事というのがあっちこっちに隠れていて、それが御社の大事な「時空」を無駄遣いしているものなんです。

1)の見える化ができると、そういったもはや意味のなくなった仕事をはぶくことができます。

また2)のまとめる作業が進んだおかげで、はぶけるようになる仕事もたくさんあるのは2)の事例で明らかですね。

当社の〇〇さんは、資料を修正不可なPDFファイル化してメールに添付する際、一旦エクセルで作成し、プリンターで印刷したものを、再度スキャナーにかけてデータ化していました。

恥ずかしながら私はその資料をメールで受け取っていながら、長年それに気づいていませんでした。

しかし、〇〇さんが白昼堂々(?)その作業をしているところをたまたま発見しましたので、彼にPC上でエクセルをPDFに変換する方法を教えて、ムダな作業時間を「はぶく」ことが出来ました。

これも私の観察という「見える化」がなければ、いつまで続いていたか、どれくらいの時間をムダにしていたかわかりません。

このように、1)見える化が十分でないと、技術が進んだときに、はぶけるはずの時空をはぶけず、その技術への投資効果が十分得られないことがあります。

☆ちなみに今ではエクセルに変わってグーグルスプレッドシートで資料を作っていますので、その資料のアクセス権を、本人以外修正できない設定にすることで、そのPDFすらも不要になっています。

4)そろえる

さぁ、あと残す項目も2つです。

これから解説する4つ目の「そろえる」は、時空デザインの完成のためにもっともコアなところ、ここの詰めが甘いとデザインの完成度が一気に下がってしまう項目ですので、ここでもう一踏ん張り、気持ちを高めてお付き合いください。

私たちエースラボのコンサルティングの仕事の中に営業や営業を支援する間接部門の「マニュアル作り」があります。

これらのマニュアルを作る際には、そのチームで一番その仕事に長けた「トップレベル」さんにインタビューを行います。

そしてトップレベルさんですら言語化できていなかった仕事の全容を「見える化」し、初心者にでも理解できるレベルまで具体的にしていきます。

ここでわかったことは、トップレベルさんは時空の使い方というか、コントロールの仕方が抜群にうまいこと。

たとえば、営業・販売なら相手の雰囲気から買い気で最初にスクリーニングして、買い気のあるお客さんだけに声をかけて短期間のうちに商談をまとめてしまいます。

決して買い気のないお客さんにダラダラつきまとって、もっと大事な他のお客様のために使うべき時空をムダにしたりしません。

この時空がコントロールされたマニュアルを使えば、全員がトップレベルさんと同じ質の仕事ができるようになる! と賢明な皆さんならおわかりいただけると思います。

しかし、現実はなかなか厳しい。

トップレベルさんの行動を分解したマニュアルがあれば「全員がトップレベルさんと同じ質の仕事ができるようになる!」というわけでもなく、良くてトップクラスの8〜9割、悪いと5割がくらいのレベルがやっと、というところです。

だってホントのトップクラスには、どうしても言葉にできない素質やアートな技術があって、たとえマニュアル通りにできたにせよ、凡人にはそこはどうしても真似できませんからね。

しかし一番下のレベルがトップレベルさんの5割に達したこのチーム、やり方は全員同じですから「槍の穂先が揃ったチーム」になってませんか?

実はチームの質を決めるのはトップではなくてボトム! お客様が感じる御社のレベルはそこです。

だからボトムが強いとその会社の評判はどんどん上がります。

ちなみに今年の阪神の優勝は8番バッター木浪の貢献が大きかったと思います。

逆にあの大谷を擁するエンジェルスがプレーオフに9年間進出できてないのは、大谷のせいではなくて、まわりを固めるボトムの選手(失礼)のせいですよね。

つまり、御社のトップレベルさんにさらにがんばってもらうよりも、ボトムレベル集団にトップレベルさんの5割の力をつけてもらうほうが、はるかに成績が上がるというわけなんです。

しかもトップレベルさん由来のマニュアルには、新人の教育もあっという間に終わり、悪い癖がつかない、という利点もあります。

ちなみにミカド電装商事はトップ営業にインタビューを行って作成されたWBS形式のマニュアルが存在し、その営業の流れが、この後の5)にあるように、マニュアルに沿った形でコンピューターシステムに反映されています。

なので、すべてのレベルの営業社員が、「システムの求める手順で仕事をしないと先に進めない」ようになっていますので、営業の質はある程度勝手にそろってしまいます。

トップレベルの営業にとっては多少まだるこしいと感じるようですが、おかげさまで当方のポカミスによる致命的なクレームはまず発生せず、一度ご発注いただいたお客様が他所様に逃げることはまずありません(こちらからお断りせざるを得ないことはあります)。

反対に、クレームを起こした競合からミカド電装商事への乗り換えは、定期的に発生します。

実はこれが、ここ十数年で、ミカド電装商事と肩を並べていた競合との間にじわじわと差が開いた理由のひとつなんです。

もし今後、何らかのミスが起こった場合は、システム通り仕事を進めたかの確認と、システムの手順が時代にそぐわなくなっていはいないかの確認・改善をすることにしてます。

5)しくみにする

すこし先回りして書いてしまいましたが、この「しくみ化」が仕事の「時空デザイン」のゴール地点です。

1)〜4)でまとめ上げた「デザインのとおり仕事が進んでしまう」いや「デザインとちがう仕事の進め方ができない」ように「会社のしくみに時空デザインを実装する」こと。

これこそが御社の劇的な利益の創出を実現するのです。

「しくみ」というと、コンピュータを使った専用あるいは汎用の業務システムが頭に浮かびますが、そんなにお金や時間をかけなくても、グーグルスプレッドシートや、ホワイトボード、紙の伝票フォームなど、お金をかけない仕組みの実装方法はたくさんあります。

ここで言う「しくみ」は「フレーム化」と言い換えてもいいでしょう。

フレームとは、たとえばお弁当箱の仕切りのようなものです。

お弁当箱の左半分の大きな仕切りのところに、ごはん以外のものを詰めるひとは珍しいと思います。

・フレームは人を従わせます。

仕切りのないお弁当箱のように、もし受注伝票が全部空白のただの白紙だったら?

最初に日付と自分の名前を書くくらいはそろうかもしれませんが、後はみなさん個人の感覚でテンテンバラバラ。

別部門や管理職に情報を伝えることが目的の「伝票」として機能する感じがまったくしませんね?

お弁当箱のように空白に仕切り線を引き、さらに客先名や品名、単価など、その仕切りの中に何を記入するかの項目名があって初めて伝票は機能します。

そして、その項目をどのように決め、どのような配置にするかがデザイナーの腕の見せ所なんです。

まず、フレームの項目名そのものが適切で過不足ないことが重要です。

もしも「その他」とか「メモ」という項目に同じようなことが毎回記入されているようでしたら、その中身を調べて類型化し、新たな項目を作る必要があります。

また、めったに使われないとか、今となってはなんのためにあるのかわからなくなった項目はさっさと削除して、上記の項目に空間を譲る必要があります。

もし御社の伝票のフォームが5年以上前からそのままだったなら、必ず見直してください。

私たちエースラボの契約先では、この辺の見直しは結構しっかりやらせていただいてまして、伝票を作り直していただくケースもあります。

また項目は仕事の手順に従った順番で並んでいる必要があります。

まずは最初に起票した日付、担当者、お客様、が最初にあって、次に品名、単価、数量、合価、納品日といった基本情報があり、その後にオプションだとか、発送する便名だとかといった場合によっては後から記入でも良い付属情報の順番になっていると良いでしょう。

こうなっていると、この順番にお客様に聞き取りをして埋めていけるのです。

もし並び順が逆だったりして、後から確認でも大丈夫な項目が先頭の方にあって、最初に知らなければならない重要な情報が末尾の方だったりしたら、ベテラン社員しかまともに使えない「人を選ぶ」伝票フォームになってしまいます。

実は手配ミスや納期遅れなどのトラブルは、この辺の時間の流れを表す空間を見直すことでだいぶ防げるんじゃないかと、サワダはにらんでいます。

そしてここからがフレーム化の大事なところ。

・フレームは創造性を育みます。

ご飯の上に乗せるのは梅干しか海苔か、はたまた「ごはんがススムくん」か??

おかずの取り合わせはどうしよう? 色でまとめるか、種類でまとめるか、食べ順でまとめるか? 

仕切りのないお弁当箱を前にここまで考えることができる人は極めて稀です。

4)の事例の続きをお話しますと、ミカド電装商事のシステムは、お客様からの問い合わせが発生した、細かい情報が不確かな状態では、起票日付や、問い合わせ元、製品やサービス名、大体の金額や納期など、その段階でわかることだけを入力すればよいようになっています。

このシステムでは次の段階に進むのに必要な情報(製品の仕様や納品先など)の項目だけが空白の状態で見えるように作られています。

すると誰に指示を得ずとも担当者は「空白を埋めようとする本能(前号参照)」に従い、空白の情報を入手しようとして、創造的で自律的で最適なアクションを自然ととってしまいます。

ミカド電装商事のシステムは「リストに次々と現れるフレームの空白を埋めていくと、自然と受注、納品までの道のりが開けてくる」時空設計というわけです。

また、そのフレーム(フォーマット)はそれを見ただけで、現在・過去・未来の時間の流れがわかるものでなくてはいけません。

たとえば一つ一つの仕事が、過去どんな経緯だったか、今の立ち位置はどこか、次に何をしなくてはないかが分かる。

あるいは部門や会社として必要なトータルの数値情報が、現在どうなっていて、過去と比べてどのような状態で、これからどうなりそうかが分かる。

もしそうなっていなければ、担当者が自律的に行動することはまず不可能で、相手に言われたまま、鼻先を引っ張り回される羽目になります。

時空が適切にデザインされていないと、自ら動いて周りを巻き込み「致して致されず」の状態を作ることはほとんど不可能なのです。

「静的なフレームが 人の自律的な行動を促す」、それが、「しくみ」というものの最も重要なところだと思います。

くりかえしになりますが、優れたしくみが作れると

①担当者は「空白を埋めたくなる」人間の本能に従い、勝手に空白を埋める行動を取る。

②空白が埋まると、勝手に業務が進んでしまう。

③しかも優れた「時空デザイン」が埋め込まれているので爆発的な時間あたり付加価値が生まれる。

ということになるのです。

ご紹介したミカド電装商事のシステムに、もしこのしくみと時空デザインが取り入れられていなければ、トップレベルはともかく、平均より下レベルの担当者の力は今よりだいぶ落ちてしまい、会社全体が生み出せる付加価値も相当下がってしまうでしょうね。

以上、私たちエースラボがおこなう「時空デザイン」とその成果を豊富な事例(契約先との守秘義務の関係上ほぼミカド電装商事のものですが)でお伝えしました。

「時空デザイン」とは、現在の御社の仕事を

1)見える化する 2)まとめる 3)はぶく 4)そろえる 5)しくみ化する

ことで、仕事の空間的な構成と、時間の流れや順番をデザインし直す作業です。

「時空デザイン」は、同じ仕事からより大きな利益が生み出せるようにし、さらに大きな利益を作るための時間(資源)を創造する効果があります。

おー と思った経営者様は、「時空デザイン」ぜひお取り組みをおすすめします

☆ウチはエクセルよりグーグル推しですが代理店とかではありません。推しの理由は無料のサービスで同じファイルを複数名で同時に扱うことができるからです。

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