前回は経営企画について書かせていただきました。
前回の内容を復習しますと、
・経営企画は一言で言えば会社の経営戦略を立案する「参謀本部」。
・優秀な経営企画は経営の成果を爆発的にあげることができるが、運用コストがかかるので、普通の中小企業では社長が兼任している。
・そのせいで、社長自身がボトルネック(阻害要因)になり中小企業はなかなか成長できない。
・良い事業、良い商品を持つことはもちろんだが、いかにして経営企画機能を充実させるかが、中小企業発展のカギ。
といったところでしょうか。
事業は変われど経営の目的はズバリ「利益」。
会社は適正な利益が出なければ、経営の見通しが立ちませんし、崇高な企業理念やミッションを果たすこともできないのです。
なので経営企画の眼目も「利益」、ですから会社の事業内容や組織形態が変わっても仕事の内容が大きく変わるということはありません。
なのでわれわれエースユナイテッドも、いろんな業種の契約先のお手伝いができているわけです。
さて今回は、経営企画よりは少し下の階層に属しますが、とっても大事な「営業企画」の仕事についてお伝えします。
ところでみなさん、営業企画って具体的に何をする部門かご存じですか?
そもそも、そんな部署あるの? って首を傾げた方ももしかしたらいらっしゃるかも知れません。
なんか営業アシスタントみたいな仕事?
商品の宣伝を考えるところ?
そんな謎多き「営業企画」の仕事を通じ、中小企業が営業の構造強化で生存競争に勝ち抜くためにはどうしたら良いのか? について書いていきたいと思います。
実は「営業企画」部門について、明確な定義があるわけではないんですが、ChatGPT無償版の助けも借りながらまとめてみました。
営業企画の仕事は、企業の営業戦略を策定し、その実行に向けた具体的な計画を立て、営業戦略の実行をリードする役割。
具体的な業務は
1)営業戦略の策定
2)営業計画の作成
3)営業プロセスの改善
4)営業スタッフのトレーニング
5)営業成績の分析
6)チームの管理
営業企画の仕事は、営業成績の向上や売上促進活動の効果的な実施など、企業の売上や利益の向上に直接関係する重要な仕事である。
と、まあこんな感じでしょうか。
実は私、一部上場企業の営業企画部門に所属していた体験があるんですが、たしかに営業企画の具体的な仕事はほぼほぼChatGPTくんの言う通りでした(さすが)。
営業企画の仕事がChatGPTくんの言ったこと全てなら、私がここでなにか言う必要もないでしょう。
「以上、ありがとうございました。後はChatGPTくんに全ておまかせします。さようなら。」
しかーし! 私ことChatGCR(ゲンイチロー)くんは知っています。
自らの体験を通して気がついた、ChatGPTくんの知らない、営業企画部門が営業部門、ひいては経営に大きな価値をもたらすということ。
つまり知られざる「営業企画の本質」のこと。
それを今回、エースレターをお読みの皆さんだけにお伝えしたい!と思うのです。
お話は長銀の破綻などでバブル崩壊の足音が聞こえる1998年にさかのぼります。
大学を卒業して某大手メーカーのとある事業部の営業職から3年目になった私ことChatGCRくん(しつこい)は、同じ事業部の営業企画部門に配属となりました。
部長さんはじめ、営業企画のベテランの皆さんのお仕事は、だいたい上記のリストの通り。
「営業部門の参謀格」という感じで営業のみなさんからは一目置かれるというか、すこし煙たがられるような存在でしたね。
私の受け持ちはもちろん、かっこいい営業戦略策定とかではなく、雑用係。
先輩社員から指示されて、当時使われ始めたばかりのパソコンで月別の売上・利益の予算表を作ったりしてました。
1988年頃のことですから、パソコンの画面は緑一色、表計算ソフトはエクセルはもちろん、後のベストセラーLotus123もまだ使われていなくて、マイクロソフトのMultiplanというアプリケーションでした。
その時に私は、とても不可思議というか理不尽な光景を目にします。
事業部の年間売上予算は、本部の経営企画部門が作成し、社長名で事業部におりてきます。
事業部長は社長から下賜された予算をうやうやしく押し頂き(?)
「んー、来期はワシが開発の指揮を取った完全密閉型鉛電池メインね。国内で売れなくなってきたアルカリ電池は輸出で稼ぐこと!」
などと大体の方針を立てます。
(一応言っておきますが、この方針はあくまでも創造です。実際のはもっとしっかりしたやつです)
その方針のもと、事業部営業企画の先輩方がその予算を実現する事業戦略を立て、更には予算を分解し、各部とその下の各課に配分して、事業部会議で発表される、というところまでは、だいたい皆さんの予想通りです。
不可思議なのはその後。
営業部の部課長は与えられた事業部戦略と予算に従って、部や課の戦術(どのお客さんを重点攻略するかなど)や機種別の予算なんかを立てなくてはいけないのですが・・・
白紙の資料片手に、部課長さんたちが先輩たちに寄ってきて・・・ヒソヒソ声で
「ねね〇〇くぅーん、うちの課の予算埋めといてくれるかい? いいよぉ中身は任せるから、前年実績見てイイ感じでやっといて!」
なんとその仕事が職制(営業企画部長)を経由せず、直接営業部の部課長から私たち企画の担当者のもとに(こっそり)降ってくるのです!
もちろん完全な丸投げ課長さんはごく一部で、だいたいの戦術と、予算達成率を口頭で伝えられての作業ではありましたが・・・。
さらに期が始まると、毎月の進捗と今後の見込みや対策など、各部課長が会議で発表する内容まで企画が手伝う、なんてこともveryoften(非常にしばしば)ありました。
ホントに当時は「なんじゃこりゃ??」と思っていましたね。
だってそうじゃないですか! まるでクイズ番組の制作担当者が、回答者に答えを教えるような理不尽さですもん。
「営業部の部課長のおじさんたちは夜の接待以外仕事してない。」
パソコンのグリーンの数字に目をシパシパさせて残業に追われていた当時の元一郎くんは、ぷりぷりしながらそう思っていたのでした。
しかし、自身が中小企業の営業部長になり、社長になって、さらにコンサルティングの仕事を初めて、やっと気づきました。
「あれで良かったんじゃん、いやむしろ営業企画が積極的に予算達成を手伝う仕組みになってなきゃダメじゃん」ということに。
営業の部課長は、部下の指導や、お客様・競合の相手で日々ホントに忙しいんです。
そんなときに、いくさの手を休めて数字をまとめたり、報告書の中身を吟味していたら、たちまち足軽雑兵の槍のえじきになってしまうわけ。
だから彼らは、それに長けている(はずの)私たち営業企画に助けを求めていたということなんです。
そうであれば、こちらも「問題出して終わり」という意識ではなく、彼らを積極的に予算達成まで導くのが営業企画本来の仕事だったはず。
営業企画は、あるときは事業部長の伝令として営業部課長さんたちに課題を与え、あるときは戦術をともに考える軍師・コーチとして、さらには計画達成をカウントして助けるスタッフとして、存在するべきですし、それがこっそりではなく、きちんと制度設計されてなければいけないわけです。
つまり、今回のタイトル
営業企画部門は、営業部門の〇〇を△△することがその本質
の〇〇と△△をうめると、
営業企画部門は、営業部門の計画達成を手助けすることが、その本質
というわけですね。
もし御社に営業企画の役割を果たすスタッフがいれば、営業部門は営業そのものに邁進することができ、計画達成の可能性は非常に高まる、というわけです。
当グループではエースラボのメンバーが「企画室」として経営企画だけでなく営業企画の役割も果たしています。
今回のまとめ
・営業企画は事業部門の直下に属し、営業部門の計画達成を支援する。
・営業実務で忙しい営業マネージャーに積極的に働きかけ、戦術の文書化、予算化を行い、進捗数値の収集や一覧化を行い、戦術の改善に協力し予算達成に導く。
・具体的業務内容は1)営業戦略の策定2)営業計画の作成3)営業プロセスの改善4)営業スタッフのトレーニング5)営業成績の分析6)チームの管理 である。
・営業計画の達成のための強力な武器である営業企画部門を持つことは、中小企業にとってはコスト的に大変だが、エースラボなど外部に代行してもらうことで劇的にコストを下げることができる(ここは宣伝)。
☆実は営業企画にはもう一つ大切な仕事があります。
それは、継続的に利益が出せる、つまり事業化できるかどうかわからない新規商品・サービスへの試験的取り組みです。
これを営業部門直下で行うと、利益を出せている事業に使える時間が減ってしまい、予算達成に壊滅的悪影響を与えるので、いわば「遊兵」の営業企画がこれに当たるのが妥当だと思います。
実際私も社命により、当時売り物になるのかどうか分からなかった「太陽光発電システム」の小さなものを2セットほど手掛けました。
まだ、いわゆるリチウム電池も世に出ておらず、必要な鉛電池(いわゆるバッテリー)の大きいこと重いこと。
「とてもじゃないが、事業化はムリ」と思ったのはほんとに浅はかだったなと、当社の主力製品の一つになった、リチウム蓄電式の太陽光発電システムをみて思います。