Vol.53_サワダが考えるマーケティングの必要条件とは?

マーケティングの定義を知りたくてChatGPTに聞いてみると

「製品やサービスを顧客に提供し、その必要性を高めるための活動や戦略の概要です。」

という、間違いではないですが、なんかエッジが効いてないというか、ねぼけた味のカレーみたいな回答が返ってきました。

もちろん、読者の皆様は経営者として事業全般に携わる方がほとんどですから「マーケティング」と聞けば、ご自身の言葉で説明できると思います。

しかし、ビジネスパーソンでも実際マーケティングに関わってない方からすると、なかなか具体的なイメージがわきにくい用語のようで・・・

実際に、昔お手伝いしていた営業研修で受講生の方に聞いてみると

「テレビのCMとか作る人?」

「商品開発?」

「市場調査?」

「自分で売りもしないで、いろいろ理屈こねてる人たち」

といった、あながち間違っているとまでは言えないけれど、一部を切り取った印象を語る言葉がほとんどでした。

そのころは研修のテキストどおり「営業の前にお客様を連れてくる行為」と教えていましたが、最近ではレターの10月号に書きました通り

マーケティングはお客が「買いやすくする行為の総称」と説明することにしています。

さて、ここからが今回の本番です。

では、マーケティングがお客が買いやすくする行為の総称であったとき、さまざまなマーケティング行為が成立するためのスタート地点、その必要条件はなんでしょう?

これがなければ絶対に買いやすくならないこと、とは何でしょう?

実は、その答えが今回同封させていただいたエースラボの卓上カレンダーにあるんです。

その答えはずばり「認知」!

認知とは「ある対象を知覚した上で、それが何であるかを判断したり解釈したりする過程」のこと、簡単に言うと「物事を正しく認識することです」。

簡単に言ってしまえば

名前を知られること。

そもそも、皆様の商品やサービスがお客様から認知されていなければ「買いやすく」もへったくれもないわけです。

「会社の名前や、製品・サービスの名前がお客様に知られていること」これが何より大事。

「名前を売る努力をしているか?」

もし、自社の商品・サービスが思ったほど売れないとお感じのときは、お客様から正しく認知されているか、そのための行動を積極的に行っているか、まずここをご確認ください。

ここのところって、電化製品が動かないときのFAQ「まず電源が入っているかどうかお確かめください。」くらい大切なことなんです。

しかし、、ニッチな市場で地位を確立している会社さん、おもにB2Bの法人営業をされている会社さんなどではどうしても過小評価されがちなことなんです。

「市場が小さいからウチの名は知れ渡っているよ」

「お菓子や歯磨き粉じゃないんだから、そんな宣伝みたいなこと・・」

どっちもダメです。

御社の名前は、自分たちが思っているほど知られてないことが多いですし、知っていても「思い出せない」レベルであることがほとんどです。

実はサワダ自身もミカド電装商事の社長になって約10年、経営がわかったつもりになり始めていた40代はじめの頃までは同じように思ってました。

そんなある日、知り合いの小さな広告代理店の社長が訪ねてきます。

彼は私たちの業界専門の新聞への広告案を持ってきていました。

「サワダさん、ウチを助けると思って、これを週1回ペースでこの業界紙の1面に載せてくれませんか?」

最悪だった苦境をなんとか乗り越え、少し余裕らしきものが出ていた当時のサワダは、提示された料金もさほどではなかったこともあり鷹揚にうなずき、広告掲載がスタートしました。

それから数カ月後、まだミカド電装商事の最前線での仕事もしていたサワダは、社用車に乗って、地方まわりの営業に出かけます。

これは、地方の小さな電気工事屋や営業所をまわり、名刺とカタログを置いてくるという、ジミーな仕事。

たいていの場合は、そこの社長さんなり所長さんに名刺の裏表をシゲシゲとながめられ

「バッテリーなんて売ったことないよ。クルマ屋さんに行ったら?」

「いえ、これは設備用のバッテリーなんです。もしお話あった際はよろしくおねがいします」

「んー まあ 忘れなければ覚えておくよ」

なんていう「労多くして功少ない」ものなんです。

しかし、この年からは違いました!

店先で「こんにちは、ミカド電装商事と申します。」といっただけで、奥の机にいた社長さんや、営業所長さんが

「ああ ミカドさん?」って言ってくれる、つまり当社を認知した状態になっていたんです。

こうなると話が早い。

資料やカタログにも一応目を通してもらえ、話も少し聞いてくれます。

そのうち、そういったこれまでお取引のなかった小さなお店や、小さな営業所から少しづつお問い合わせがいただける状態に・・・

くだんの広告代理店さんには感謝の言葉をお伝えしました。

そんなある年の晩秋、サワダはいいことを思いつきました。

「そうだ、かわいいカレンダーを作ろう。」

これまで壁掛けの風景だけのカレンダーしか作ってなかったのを、卓上型のかわいい子犬や子猫が写った卓上カレンダーも合わせて作ることにしたんです。

私達もそうですが、お客様の電気工事業界はいわゆる「男の職場」。

しかし、たいていの事務所には事務職の女性スタッフがいます。

もし机の上に、かわいい子犬の卓上カレンダーが置かれていて、そこに「ミカド電装商事」の名前があれば、少しづつ女性スタッフの脳内に私達の存在が刷り込まれていくでしょう。

そして女性スタッフの机には、様々な用事を頼みに男性社員がやってきます。

なかには「この小さな電池部品をどこかに発注しておいて」なんて用事も。

そのときスタッフの方の脳内に「ミカド電装商事」が刷り込まれていたら・・・

実際、年末にカレンダーを持ってお客様に挨拶に上がったとき、応対してくれた女性スタッフが、私が見せた子犬のカレンダーにちらりと、しかし強い目線を送ったとき、私は確信しました。

「この人きっと、1部自分のために確保するだろう。」と。

どちらかというと、施工の必要な大型で高額な受注が主体のミカド電装商事に、これまでお問い合わせもなかった小さなお店や営業所からじわじわと、少額ながらも納品だけで手離れのいい商品のFAX注文が増えだすのにさほど時間はかかりませんでした。

そしてその男性社員の脳内にもきっと・・・「ミカド電装商事」の名が・・・

そうなんです。

どんな業態であろうが、競合もいる中で自分の会社を選んでもらうためには、まず「〇〇といえば当社」という認知をなるべく多くの人に与えることがとても重要です。

「お客が買いやすくする行為」マーケティングが成立する必要条件は「社名やブランド名、商品・サービス名が認知されていること」

ホントかどうか確かめてみたいという方は、ぜひ同封しましたエースラボのカレンダーをご自分の机やご家庭で使ってみてくださいね(😀)。

☆ヒトの認知の機能に問題が起きると「認知症」ということになります。

例えば、「お金を見ても何に使うものかわからなくなる」「家族を見ても誰だかわからない」という状態で、「慣れた道で迷子になってしまう」「スリッパが冷蔵庫にはいっている」といった大変不便なことになってしまうそうです。

私のように忘れ物が多いのはまた別物で、「注意欠如」や「老化による物忘れ」によるものだそうです(不便は不便ですけどね)。

☆「必要条件」は正確には「PならばQである」のPのこと。この文でのP(認知)はQ(マーケティング)に内包されているので、キモチ違うような気がしますが、大目に見てください。