「出張経理課長」布川昭文の「これでじゅうぶん!社長の経理知識」 第2回「財務を強くするバランスシート対策」その1

こんにちは! エースラボの布川昭文です。                       普段は「出張経理課長」として、契約企業様の日々の経理処理や毎月の状態把握に欠かせない月次試算表作成のお手伝い、さらには資金繰りや、資金調達に関わる支援業務を行っております。

これまでの経験をもとに数回にわたり、「経理業務に直接タッチしない社長さんでもここだけは知っておいてほしい」「ここを押さえておくと経営が楽になりますよ」というところをピックアップし、なるだけわかりやすく、簡略にお伝えしていきたいと思います。       

今回から「財務を強くするバランスシート対策」を数回に分けてお伝えしたいと思います。 前回は「バランスシートとは何か?」について取り上げさせて頂きましたが、皆さんはしっかりと自社のバランスシートを見ていますか?「損益計算書は理解しやすいけど、バランスシートはイマイチ分からないなぁ」という声を良く耳にします。皆さんはいかがでしょう?バランスシートから目を背けていませんか(笑)。前回も触れたようにバランスシートは「企業の財務状態」を表す大切な計算書であり、避けては通れません。

売上が好調で利益が出ていたとしても、現預金が非常に少ない状態だったらどうでしょう。キモを冷やしますよね。損益計算書からは資金の状況は読み取ることはできないのです。「黒字倒産」という言葉をお聞きになったことはありませんか?利益が出ていても手元に資金が残っていなければ企業は倒産してしまいます。この辺のことはキャッシュフローの説明をする際に改めて説明したいと思います。企業を継続させるためには利益も大切ですが、もっと大切なのはバランスシートに注視しながら経営をすることです。財務の強い企業はバランスシートを重視して経営を行っているのです

では、実際に「財務を強くするバランスシート対策」について触れていきたいと思います。  財務体質を強くするには、不要な資産・負債を圧縮して財務バランスの改善をはかることや、資本を充実させることがあげられます。

今回は、流動資産の「売掛金」を取り上げます。

売掛金で特に注意が必要なのは、回収もれ不良債権の有無です。回収予定日を過ぎても入金されていない売掛金がないか、取引先が既に倒産などしており、回収見込みがたたないものが含まれていないかを調べます。

会計事務所勤務時代、担当企業に訪問した際に、社長に対して「この取引先の売掛金の回収がされていないようですが、先方には催促等行っていますか?」「前期の決算から残高に変動がありませんが、取引先は健在なのでしょうか?」などと質問をしたことがありますが、「えっ、そうなの?入金されていない?」「営業担当者で無いと取引先の状況が掴めないなぁ」といった、なんとも呑気な回答が返ってくることも少なからずありました。売掛金を気にされない社長が多いのには驚かされた記憶があります。回収不能となっている売掛金を放置することは、決算書上よくないですし、回収遅れは資金繰りにも影響を及ぼしてしまいます。しっかりと中身を検証し、回収漏れや、回収不能が無いかしっかりと確認を行うことが重要です。           みなさんも是非とも自社の決算書で売掛金の内容をチェックしてみてください!       次回は在庫(貯蔵品)について触れたいと思います。

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布川 昭文
中央大学経済学部卒業後、東証一部上場企業の建設会社に入社。支店経理、本社人事部で勤務。その後、会計事務所、シンクタンクにてスタッフ系業務全般及び調査・研究業務に携わる。シンクタンク時代には流通業の経理担当者向けのセミナー講師を定期的に務めた。また、2005年共著にて「経営計画・利益計画の立て方進め方(ISBN-10:4534039751)」執筆。 2021年 エースラボの理念「中小企業のパワーアシスト」に共感し参画。いままで様々な企業の業務改善に携わる。趣味で合唱をたしなみ、ベートーヴェンの第九をこよなく愛する。週末、ぶらぶらとドライブしながらの温泉巡りをすることもすき。