「なお事故にあったAさんの命に別条はないとのことです。」
「盗撮したのは間違いない、と逮捕されたB容疑者は語っています。」
こんな報道をよく耳にすること、ありませんか?
この「命に別条はない」「したのは間違いない」のところを「紋切り型」表現というのは、みなさん御存知の通り。
「紋切り型」、つまり「いつも型どおりで新鮮味のない」表現のことで、新聞やニュース放送でお馴染みですね。
他にも、
「消息筋によると」
「今後論議を呼びそうです」
「自信をのぞかせていました」
なんて言うのもありますね。
新聞だと
「景気回復への道遠く」
といった文章体の紋切り型もあります。
いたずら・ごまかし・インチキのことをモンキー・ビジネス(monkey business)と言うそうです。
「モンキーと紋切り」ダジャレでそんなタイトルを付けましたが、「真実を追求するはずのマスコミの方々がどうしてこんなに紋切り型表現を多用するのか?、ちょっと不思議に思います。」という皮肉もこめられています。
まあ、人間が起こす事件や事故、スキャンダルのパターンや我々の感想も大体決まってますから、仕方ないといえば仕方ないんですけどね。
さて、お話変わって我々企業の紋切り型表現の代表とはなんと言っても
「お客様第一主義」
だとおもいます。
実際各社さんのホームページやパンフレットを拝見すると結構な確率でこれに出会います。
誰も反対できない紋切り型のこの「お客様第一主義」。
実はこれが企業の良心やコンプライアンスをどれだけ歪めているかわかりません。
なぜなら目の前のお客満足にとらわれていると、知らずしらずのうちに・・・
流通だけが喜び、エンドユーザーをがっかりさせる商品を作ってしまったり
(例:販売チャネルごとに名前とグリルを変えただけの自動車)
「お客様のため」と無理を強いて従業員の心を傷つけてしまうからです。
(例:神様と言っても死神みたいなお客にペコペコさせるお店)
ですから公にWEB上には書けなくても、社長さんの心の中のホームページの社是にはぜひ
「エンドユーザー重視」「従業員第一主義」
と書かれていてほしいですね。
だって「大切にされている」自尊心を持った従業員が、エンドユーザーに喜ばれる商品・サービスを提供すれば、自ずとお客様は満足されるはずですから・・
私達の住むビジネスの世界は様々なニーズの変化に対応し、もっといえば新しいニーズを作り出すことが求められています。
これをお馴染みドラッカー先生は「顧客の創造」と名付けました。
うっかり、新鮮味のない紋切り型のモンキー・ビジネスになってしまっているところはないか、ぜひチェックしてみてくださいね。
☆おまけ
日本においてメーカがユーザーよりも流通を尊重していることの証左に「そうは問屋が卸さない」というコトワザがあげられます。
☆☆おまけ
企業の紋切り型表現は他にも「いつもお世話になってます」「がんばります」「ソリューション」「訴状が届いてないのでコメントは差し控えさせていただきます」なんてのがありますね。
☆☆☆おまけ
SNS上で散見される「震えた」・「涙が止まらない」・「感動でしかない」など過剰表現の紋切り型に対しては「ほんとに震えたり、泣いてたり、感動している人はこんなふうに書かないだろうな」と思います。